RCスナバ計算ツール — 2回の測定からスイッチノードのリンギングを抑える
測定したリンギングからRCスナバの定数を決めます。スナバなしと既知のコンデンサを追加したときのリンギング周波数から、寄生容量と寄生インダクタンス、スナバ抵抗とスナバコンデンサ、抵抗の消費電力、最小オン時間と照合した時定数を求めます。
公式
参考: Todd, Snubber Circuits: Theory, Design and Application, Unitrode (1993), TI SLUP100, pp. 2-4 and 2-5
仕組み
MOSFETやダイオードがオフになると、その両端の電圧にリンギングが発生します。スイッチを含むループの寄生インダクタンス(配線パターン、パッケージのリード、トランスの漏れインダクタンス)が、スイッチ両端の容量(スイッチの出力容量、ダイオードの接合容量、レイアウトによる容量)とエネルギーをやり取りし、このループには抵抗成分がほとんどないため、リンギングは何サイクルも続き、電源電圧を超えるオーバーシュートを生じてノイズを放射します。スイッチの両端に接続したRCスナバがこれを減衰させます。ループの特性インピーダンスに等しい抵抗がエネルギーを吸収し、それと直列のコンデンサが、抵抗が直流で電力を消費するのを防ぎます。
寄生ループの測定
このインダクタンスと容量が計算できるほど正確にわかっていることはまれですが、測定で求めることはできます。スナバを付けない状態でリンギング周波数 を読み取り、次に既知のコンデンサ をスイッチの両端に接続して、新しい周波数 を読み取ります。インダクタンスは変わらないので、
追加したコンデンサで周波数が半分になれば、回路の容量は4倍になっており、 はちょうど の3分の1です。これは、ToddがUnitrodeの「Snubber Circuits: Theory, Design and Application」(1993年)で示している手順です。インダクタンスと特性インピーダンスは次のように求まります。
スナバ定数の決め方
スナバ抵抗を に設定すると、ループは 近くまで減衰します。抵抗がリンギングを抑えられるようにするには、スナバコンデンサが より大きくなければなりません。Toddは の2~4倍を推奨しています。コンデンサを大きくすると減衰は強くなりますが、電力を消費します。コンデンサは1サイクルごとにスイッチ電圧 まで1回充電されて1回放電し、そのたびにエネルギー が抵抗で失われるためです。
この電力は抵抗値に依存しません。損失を決めるのが抵抗ではなくコンデンサであるのはこのためです。抵抗には低インダクタンスのものを使う必要があります。巻線抵抗はリンギング周波数ではインダクタンスが大きすぎます。
適用範囲
この測定は、寄生インダクタンスと寄生容量がそれぞれ1つだけで、テストコンデンサを追加してもインダクタンスが変わらないことを前提としています。計算ツールは、コンデンサの倍率がToddの推奨範囲である の2~4倍を外れると警告を表示します。また、時定数 が長すぎて最小オン時間内にコンデンサが放電しきれないスナバにも警告を表示します。Severns(Cornell Dubilier「Design of Snubbers for Power Circuits」)は時定数の2倍までを許容しており、その時点で元の電圧の0.14倍が残ります。これらの範囲外でも、値は警告付きで表示されます。また、電力の見積もりは、コンデンサがスイッチ電圧までしか充電されないことを前提としています。減衰後もオーバーシュートが残っていれば、その分だけ電力は増えます。
計算例
問題: 400 kHzでスイッチングする48 Vの同期整流降圧コンバータで、スイッチノードに180 MHzのリンギングが発生しています。ローサイドMOSFETの両端に220 pFのコンデンサをクリップで接続すると、リンギングは95 MHzに下がります。軽負荷時の最短オン時間は150 nsです。寄生容量の3倍の容量でRCスナバを設計します。
ステップ1 - 寄生容量: (f₀/f₁)² = (180/95)² = 3.590 C_p = 220 pF / (3.590 − 1) = 84.94 pF
ステップ2 - 寄生インダクタンス: L_p = 1 / ((2π × 180 MHz)² × 84.94 pF) = 9.20 nH
ステップ3 - 特性インピーダンスとスナバ抵抗: Z₀ = √(9.20 nH / 84.94 pF) = 10.41 Ω、したがって R_s = 10.41 Ω
ステップ4 - スナバコンデンサ: C_s = 3 × 84.94 pF = 254.8 pF
ステップ5 - 抵抗の消費電力: P = 254.8 pF × (48 V)² × 400 kHz = 0.235 W
ステップ6 - 時定数: τ = 10.41 Ω × 254.8 pF = 2.65 ns。時定数の2倍の5.3 nsは、150 nsの最小オン時間に十分収まります。
最も近い標準値(10 Ωと270 pF)に丸め、抵抗は消費電力の2倍以上の定格のものを選びます。C_p の4倍にするとコンデンサは339.8 pF、抵抗の消費電力は0.313 Wになりますが、減衰はほとんど強くなりません。
実践的なヒント
- ✓テストコンデンサは、リンギング周波数がおよそ半分になる値を選んでください。このとき C_p はその約3分の1になり、測定が誤差の影響を最も受けにくくなります。
- ✓抵抗は計算した電力の2倍以上の定格のものを、コンデンサはスイッチ電圧にオーバーシュートを加えた電圧に耐える定格のものを選んでください。C0G/NP0のセラミックコンデンサは容量値が安定しており、パルス電流にも耐えます。
- ✓スナバを取り付けたら再度測定してください。オーバーシュートが残る場合は、抵抗を変えるのではなく、コンデンサの倍率を4倍に向けて上げます。
- ✓まずレイアウトを改善してください。ホットループを小さくするとリンギング周波数が上がってそのエネルギーが下がり、必要なスナバもそれに応じて小さくなります。
- ✓BOMまたはKiCad回路図をエクスポートすると、電力と電圧に合わせて選定された抵抗とコンデンサが、スイッチノードからグランドへ直列に接続された形で得られます。
よくある間違い
- ✗スナバ抵抗を減衰ではなく電力で選んでしまう。抵抗値はループの特性インピーダンスに等しくする必要があります。消費電力を決めるのは抵抗値ではなく、コンデンサ、電圧、周波数です。
- ✗スナバコンデンサを寄生容量と同程度以下にしてしまう。C_s が C_p に近いと、抵抗はリンギングを抑えられません。通常は C_p の2~4倍にします。
- ✗巻線抵抗を使ってしまう。数十~数百MHzでは、そのインダクタンスがスナバの効果を打ち消します。厚膜チップ抵抗かカーボンコンポジション抵抗を使ってください。
- ✗プローブに長いグランドリードを付けたままリンギングを測定してしまう。リード自身のインダクタンスによって別のリンギングが加わります。プローブの先端とグランドバレルを直接当てるか、短いグランドスプリングを使ってください。
- ✗スナバをスイッチから離して配置してしまう。スナバはできるだけ短いループでスイッチの両端に配置する必要があります。そうしないと、両者の間の配線インダクタンスが減衰されずに残ります。
よくある質問
方法論と参考文献
参考文献
- Snubber Circuits: Theory, Design and Application — Philip C. Todd, Unitrode Corporation (May 1993), TI literature SLUP100 — p. 2-4: sizing the RC snubber by halving the ring frequency, R equal to the characteristic impedance, C two to four times the circuit capacitance; p. 2-5: resistor dissipation P = f·C·V²
- Design of Snubbers for Power Circuits — Rudy Severns, Cornell Dubilier Electronics technical paper (1999) — pp. 4–6: the RC snubber across the switch and its dissipation; p. 10: the parasitic inductance from the ring period with and without a test capacitor; p. 15: discharging the capacitor within the minimum on-time, two time constants
Reproduces Todd's worked example (330 pF and 2 µH ringing at 6.2 MHz, 78 Ω, 16.0 W from a 1000 pF snubber at 400 V and 100 kHz); halving the ring frequency gives exactly a third of the added capacitance, and the inductance equals the one Severns's two-period measurement gives.
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